甲状腺

■甲状腺機能異常とは

バセドウ病と橋本病は、どちらも自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来、身体に入り込んだ異物に対して起こるべき免疫反応が、正常な自己の細胞を異物とみなして免疫反応を起こす病気です。この2つの病気は表裏一体で、橋本病だった人がバセドウ病を発症したり、またその逆もあります。

▼バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺を異物とみなして産生された抗体が、甲状腺を刺激し続けることによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、身体の新陳代謝が活発になり過ぎる病気です。
病気が進行すると、「寝ていてもジョギングしている」と例えられるほど身体の機能は活動的な状態となり、動悸・汗・震え・体重減少などの症状が現れます。 ただ、こうした症状は徐々に進行していくため、自覚症状はあっても、自分が病気にかかっているという認識がなく、診断・治療が遅れる方も多いです。

▼橋本病
甲状腺を異物とみなして産生された抗体が、甲状腺自体の細胞を破壊していく病気です。甲状腺が破壊されると甲状腺ホルモンの分泌が減り、身体の新陳代謝は停滞し、身体機能が低下した状態になってしまいます。眠気、疲れやすい、だるさ、むくみによる体重増加などの症状が出ます。

■甲状腺機能異常の原因

バセドウ病と橋本病は前述のように自己抗体による自己免疫疾患ですが、遺伝的な原因があり発病する可能性があるといわれています。また、橋本病の場合、ヨードの過剰摂取(海藻類など)により発病する可能性があります。

■甲状腺機能異常の検査診断

バセドウ病や橋本病の検査は、「血液検査(甲状腺ホルモンの量や甲状腺抗体の存在を調べる)」と 「超音波検査(甲状腺の形や大きさなどを調べる)」 が中心になります。薬の量を決めるために定期的な血液検査が必要です。甲状腺腫瘍の合併がある方は、定期的な超音波検査が必要です。

■甲状腺機能異常の治療

バセドウ病、あるいは橋本病の治療は、薬物療法が中心になります。定期的に行なわれる血液検査をもとに、バセドウ病の場合は甲状腺ホルモンを抑える薬を、橋本病の場合は甲状腺ホルモンを補充する薬を服用し、血液中の甲状腺ホルモンの量をコントロールしていきます。こうした治療の過程で甲状腺の腫れはおさまり、耐えられないような自覚症状も緩和していきます。ただし、薬物療法による治療は長期にわたることが多くなります。自己判断で薬の服用を止めたりしないように、根気よく治療を継続してください。

■症状を増悪させるもの

ストレス・出産・ヨード過剰摂取・喫煙・特殊な薬物は症状を増悪させる可能性がありますので注意してください。

2021年9月13日

■甲状腺結節とは?

甲状腺に1〜数個のしこり(結節)ができる病気です。首のしこりや腫れを自覚したり、他人から首の腫れを指摘されたりする場合もあれば、超音波検査による健診で偶然発見される場合もあります。

甲状腺の機能(血液検査による甲状腺ホルモンの値)に影響がなく、良性と診断されれば、すぐに身体に害を及ぼすことはありません。

甲状腺結節には良性と悪性があります。一部には甲状腺ホルモンを産生する腫瘤がありますので、バセドウ病のような症状が出現することがあります。

▼良性結節

治療は基本的には必要ありませんが、美容面や不快感が強い場合には手術をすることもあります。大きな嚢胞の場合には穿刺して吸引することがあります。

▼悪性腫瘍

がん:甲状腺のがんには以下のものがあります。

  • 乳頭癌:甲状腺癌の90%以上は乳頭癌です。進行が遅く、手術により治すことができます。
  • 濾胞癌:5-6%を占めます。これも予後良好なことが多い癌で、手術により治すことができます。
  • 髄様癌:稀な癌です。遺伝性に認められることがあります。
  • 未分化癌:稀な癌です。進行が早いので早急な治療が必要です。
  • 悪性リンパ腫:橋本病から発生すると言われています。

■甲状腺結節の症状

甲状腺のはれ方には、バセドウ病や橋本病などのように甲状腺全体がはれる「びまん性甲状腺腫」と、甲状腺が部分的にしこりのようにはれる「結節性甲状腺腫」があります。甲状腺結節は20歳代から50歳代の女性に多く、しこりがあるだけで、ほかには何も自覚症状がないのが特徴ですが、大きな結節が食道に接している場合に、飲み込みづらさが出る場合があります。

■甲状腺結節の検査

視診、触診・超音波検査と細胞診で診断します。

  • 視診、触診
    しこりの有無と大きさ、性状(硬さや広がり)などを調べるために、首の周囲(甲状腺の周辺部)の視診と触診を行います。
  • 超音波検査(エコー)
    結節性甲状腺腫は甲状腺の病気で一番多いものです。
    甲状腺超音波(エコー)で調べると、手で触れないような結節も見つかる場合があります。超音波で結節の大きさや性状を詳しく調べることができます。
  • 細胞診
    超音波で結節の位置を確認しながら、甲状腺のしこりに細い針を刺して細胞を取り、顕微鏡でその性質(がん細胞がないか)を判断します。

■甲状腺結節の治療

良性の場合

良性と診断したら、ほとんどの場合、エコー検査で定期的に観察します。良性結節で経過をみる理由は、サイズが大きくなることもあるためです。サイズが大きくなれば、悪性腫瘍(がん)の可能性もあり、また、良性でも治療を要すことがあるためです。手術が必要となる場合は専門の病院をご紹介します。エコーで定期的に甲状腺結節の性状と大きさを観察していきながら、悪性腫瘍を疑う所見がある場合、針刺し細胞診を行うことがあります。また、血液検査で甲状腺がんの腫瘍マーカーの値を参考にすることもあります。

 

悪性の場合

甲状腺がんの場合は、手術が基本です。甲状腺がんは進行が遅いため、たいていはリンパ節に転移したがんも含めてきれいにとることができます。

 

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