声のかすれ

2022年6月6日

■声帯結節とは

声帯は、左右2本のヒダ状からなる、発声するための器官です。

この2本のヒダが動き、空気を振動させることで発声することができます。

発声による振動で声帯がこすれ合い、物理的なストレスが大きくかかると、左右2本のヒダに硬いマメのようなものができ、これを声帯結節と呼びます。

声帯結節ができると、声がかれたり、痛みが生じる場合があります。

声帯ポリープと症状や治療法が似ていることから混同されやすいですが、ポリープは声帯の片方にできることが多く、声帯結節は両方の声帯にできることが多いです。

■声帯結節の原因

声帯結節は声の出しすぎが原因です。

習慣的に大きな声を出す、歌う、叫ぶ、その他のどに負荷をかける発声を行うなど、慢性的に刺激を与え続けることによって、声帯がはれて結節ができます。特に発声しづらい状態で無理に声を出すことで声帯への大きな負担となり、声帯結節ができやすくなります。

特に幼稚園や小学校の先生といった日常的に大きな声を出す必要のある職業の方や、無理な大声を出す子どもに多くみられます。

■声帯結節の検査診断

声帯を観察することで症状の診断を行います。

咽喉頭ファイバースコープを用いた内視鏡検査によって結節の有無を確認します。

声帯に結節がなく正常に見える場合でも、発声した際に中央付近に泡が溜まってくると、結節ができる一歩手前の状態であるため注意が必要です。

 

■声帯結節の治療

大声を出すことや無理な発声等によるのどの酷使が原因であるため、治療方法としては、喉の安静に努め、経過観察を行います。炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤やステロイドといった薬物療法も必要に応じて実施します。

上記の治療でも改善が見られない場合は、手術治療を検討することになります。

ただ、手術によって結節を切除しても、のどの酷使があると再発してしまうケースも多くあるので、声帯に負担をかけないよう日常生活で注意することが重要になります。

再発を予防するためにのどに負担をかけない発声法を習得する方法もあります。

 

■日常生活の留意点

日常生活で、声の出しにくい時にはすでに炎症が起こっている場合が多いため、無理に声を出さず安静にすることが重要です。

また普段から大きな声を出す機会の多い人は、発声の仕方や声帯への負担を考慮する必要があります。

2022年6月6日

■咽喉頭炎とは?

喉の奥を咽頭(いんとう)、さらに奥の声帯に近い部位を喉頭(こうとう)と言います。

咽喉頭炎とは、これらの部位にウイルスや細菌が増殖することで、炎症を引き起こした疾患です。
特に秋冬は乾燥によりウイルスや細菌が増殖しやすく、咽喉頭炎が起こりやすい時期です。

症状は、喉の奥の炎症による痛みが生じます。特に食べ物を飲み込む際に痛みを強く感じます。
喉の違和感(イガイガ)や異物感、声のかすれ、鼻水が喉に垂れるといった症状もあらわれます。
また、喉の症状に合わせて、37~39度の発熱や身体のだるさ、頭痛、首のリンパ腺が腫れるといった症状があらわれることもあります。

 

■咽喉頭炎の原因

咽喉頭炎の原因は、咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)にウイルスや細菌が増殖し、炎症が起きることです。
他にも、ガスや粉塵を吸い込むことや喫煙、喉の酷使が原因で喉に炎症が起き、咽喉頭炎になることもあります。

・咽喉頭炎の検査診断

ファイバースコープ等を用いて喉をみることで、炎症の部位や程度を確認します。重症の場合は血液検査を行い、炎症反応の程度を確認することもあります。

■咽喉頭炎の治療

症状によって炎症を抑える、咳を止める効用のある内服薬を処方します。
また、院内で薬を吸入するネブライザー治療を行う場合もあります(コロナ以後現在は鼻吸入のみ施行しています)。

 

■日常生活の留意点

喉を清潔な状態に保つうがいの励行が予防につながると言われています。
冬期間など乾燥しやすい時期は特に意識してうがいを行いましょう。
症状があらわれた時は、安静にし休養をとることで咽喉頭炎の症状も改善されます。喉を休めるようにし、飲酒喫煙は喉に避けてください。

2022年4月13日

■喉頭がんとは?

喉頭とは、のどぼとけの位置にある器官であり、気管と食道が分かれる場所にあります。喉頭は、鼻や口から体内に取り込まれた空気を気管へ、食べ物を食道へと振り分ける役割をしています。
喉頭にできたがんを喉頭がんといいます。

喉頭には、左右一対となる声帯があり、声帯に囲まれた部分を声門といいます。
喉頭がんはできる場所によって名前が変わり、声門にできたら、「声門がん」、声門より上側なら「声門上部がん」下側なら「声門下部がん」というように分類されます。
症状もこの分類によって異なります。

  • 声門がん
    声門がんは声帯に腫瘍ができるため、声がかれるという初期症状が起こります。がんが進行すると声帯が狭くなることで声の異変がひどくなり、息苦しさを感じるようになります。
  • 声門上部がん
    声門上部がんは、のどに異物があるような違和感や、飲食物を飲み込んだ際の痛みなどの症状が現れます。がんが進行すると、声の異変や息苦しさなどの症状が起こります。初期症状が風邪の症状に似ていることで、がんの発見が遅れる場合があります。
  • 声門下部がん
    声門下部がんは、がんが進行するまで初期症状が出ないケースが多く、発症に気づきにくい疾患です。がんが進行すると、声門がん、声門上部がんと同様に声の異変や息苦しさなどの症状が現れます。

■喉頭がんの原因

喉頭がんの発生する主な原因は、喫煙と飲酒とされています。慢性的な喫煙と飲酒は喉頭へ継続的に刺激を与えることになるため、がんの発症リスクを高めることになります。
実際に喉頭がんは、肺がんと並んで喫煙率との関連性が高い傾向がみられます。

■喉頭がんの検査診断

喉頭鏡や、内視鏡(喉頭ファイバースコープ)を用いて喉頭を確認することで、がんがないかを調べます。
また、触診により首の周りを触ることで、リンパ節への転移がないかも確認します。
喉頭がんが疑われる場合は、正確な診断を行うために、病変の一部を採取して検査をする必要があります。CT、MRIなどを行うこともあります。

■喉頭がんの治療

抗がん剤による治療や放射線治療、手術による治療があります。
小さいがんや周囲への影響がないがんの場合は放射線治療が有効です。
放射線治療では対処しきれない場合は、手術で喉頭を摘出することもあります。

声がれが続いたり、飲み込む時に違和感がある、呼吸が苦しいという症状がありましたら、早めに耳鼻咽喉科受診をおすすめします。

 

2022年1月28日

■声帯ポリープとは

声帯ポリープとは、声帯に膨らみ(ポリープ)ができる病気です。
声帯は、左右2本のヒダ状からなる、発声するための器官です。
この2本のヒダで空気を振動させて発声しています。
声帯にポリープができると、ヒダの動きや空気の振動が妨げられ、発声がしにくくなります。
声帯ポリープは左右のヒダどちらか一方にできますが、長期間治療をせずに放置していると反対側にできる場合があります。
声帯ポリープができると喉に違和感が生じ、病気が進行すると声がかすれ、唾液を飲み込む際に違和感を感じる場合もあります。
ごくまれにですが、大きなポリープが原因で呼吸困難が生じることもあります。

■声帯ポリープの症状

初期の段階では、喉の違和感が現れます。喉の奥になにか詰まったようなイガイガした感じで、うがいをしてもこの違和感は解消しません。進行すると声がかすれる嗄声(させい)が現れます。ほかに、空気が漏れるような声や、話している途中で声が続かなくなる、などの症状もでてきます。とてもまれですが、非常に大きいポリープの場合、呼吸困難を起こす可能性もあります。

■声帯ポリープの原因

声帯ポリープの主な原因は、喉の酷使による声帯の炎症です。
上記が原因で声帯が炎症を起こしている状態で、無理な発声をして声帯を酷使し続けると声帯の粘膜の血管が破れ、内出血を引き起こし、血腫ができます。
血腫が出来ている状態でさらに大きな声を発声し続けることで、悪化しポリープになります。
喉の酷使の他にも、風邪や喫煙、飲酒による喉の炎症もポリープの原因となる可能性があります。

■声帯ポリープの検査診断について

問診で発声を聞き、声のかすれ具合や違和感など、声帯ポリープに特徴的な症状があるかを確認します。
さらに、ファイバースコープを用いて、患者さんと一緒にモニターに映った声帯の様子を観測することで診断を行います。

■声帯ポリープの治療

声帯ポリープの治療には、声帯の炎症を抑えて治るのを待つ保存療法と、手術によってポリープを切除する手術療法があります。
ポリープへと悪化する前の初期症状の段階で、声帯を酷使する行動(大きな声を出す、飲酒、喫煙等)を控え、安静にすることで自然治癒することが多いです。
炎症が強い場合は、炎症を抑える薬を用いた保存療法を行うことで、症状の改善に向かいます。
保存療法でも快方に向かわない場合は、手術でポリープを取り除きます。
声帯ポリープによって生じる初期症状の喉の違和感はうがいをしてもなくなりません。
そのため、喉の違和感がなくならないといった自覚症状を感じたら、放置せず早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要になります。

■日常生活の注意点

日常生活において、無理に声を出さず安静にすることが重要です。ひそひそ声でも声帯に負担はかかりますので、できる限り発声を控えることが重要です。
また普段から大きな声を出す機会の多い人は、発声の仕方や声帯への負担を考慮する必要があります。当院では声帯に負担のかからない発声方法をお伝えしています。

 

2021年5月20日

 

■下咽頭がんとは?

下咽頭とは、のどと食道をつなぐ部位を指します。この部位にできるがんのことを下咽頭がんと呼びます。

下咽頭は「梨状陥凹」「輪状後部」「咽頭後壁」という三つの部分からなり、がんの発生する割合が最も高いのが梨状陥凹で、全体の6~7割を締めます。最も飲酒及び喫煙の影響を受けやすい箇所であることが原因であると考えられます。

また、下咽頭がんは頸部(首)に近いことから、首のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。

下咽頭がんは、初期症状がほとんどないため気がつきにくい疾患です。病気が進行するにつれ、食べ物を飲み込む時に違和感や痛みが生じたり、吐血、声の変化、口が開けづらい、喉や首にしこりができるといった症状がみられます。

■咽頭がんの検査診断

触診で喉や首の腫れやしこりがないかを確認し、喉頭鏡や内視鏡(咽喉頭ファイバー)を用いて喉や声帯の状態を確認します。がんが疑われる場合、連携病院に紹介し、正確な診断のため、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で確認する検査が必要になります。また、がんの転移の有無等を調べるために、CTやMRI検査などの画像検査も必要になることもあります。

■咽頭がんの治療

早期段階でがんが見つかれば、手術による切除や放射線治療によって治療することが可能です。ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染のある場合では、放射線治療の効果がより高いとされております。

咽頭は、発声や食事、呼吸など人らしく生きるために必要な機能を有す部位です。

咽頭がんが進行し、腫瘍が大きくなるほど治療に伴う機能低下が大きくなるので、違和感が続くようでしたら、早めに耳鼻咽喉科を受診することを勧めます。

 

2021年5月20日

■ポリープ様声帯とは?

ポリープ様声帯とは、声帯全体がむくんで水ぶくれのようになった状態になることで、声が枯れるという症状が見られます。

■ポリープ様声帯の原因

ポリープ様声帯は、大声を出す、歌う、叫ぶなど、無理な発声のし過ぎなどで声帯に負担をかけることによって発症します。
特に幼稚園や小学校の先生のように日常的に大きな声を出す必要のある職業の方や、飲酒や喫煙による声帯への負担も誘因となりますので、習慣的に飲酒するヘビースモーカーの方に発症が多くなります。

■ポリープ様声帯の検査診断

声帯を観察することで症状の診断を行います。
咽喉頭ファイバースコープを用いた内視鏡検査によって声帯の様子を確認します。

■声帯様ポリープの治療

大声を出すことや無理な発声等によるのどの酷使が主な原因であるため、治療はのどの安静に努めることが重要です。のどの炎症や腫れをを抑える薬や、吸入治療をしながら、発声方法の指導や禁煙をすることで、症状の悪化を防ぐことができます。
すでに声帯の変性が固定してしまい、上記の治療でも声がれの改善がない場合は、手術治療を検討することになります。

■日常生活の留意点

日常生活での発声方法や喫煙習慣が症状の原因となる場合が多いため、発声の仕方や声帯への負担を考慮する必要があります。
また、喉頭がんなどの悪性腫瘍で声がかれ、同様の症状がでることがあるので注意が必要です。
声の調子がおかしいと感じた際には、早めの耳鼻咽喉科受診をおすすめします。

 

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