耳閉感がある・耳が詰まる感じ

2022年2月16日

■耳管開放症とは

耳管開放症とは、耳と鼻をつなぐ管(耳管)が開きっぱなしになるために起こる病気です。本来音は耳から伝わって鼓膜を振動させますが、耳管が開きっぱなしだと耳管経由で音(特に自分の声)が伝わって、内側から鼓膜を振動させます。そのため、耳がふさがった感じがしたり(耳閉感)、自分の声・自分の呼吸音が耳に響いたり(自声強聴・自己呼吸音聴取)する病気です。耳管が開放していると不快な状態が続くため、鼻すすりをして強制的に耳管を閉塞させるという癖が続いている人もいます。

急な体重減少、妊娠、体調不良により発症する場合もあります。体重減少などにより耳管周辺の脂肪が減り、耳管がより開放傾向となるためと考えられます。運動し、汗をかいたりすると病状が悪化することがあります。

 

■耳管開放症の症状

耳管開放症は主に以下のようなものが現れます。

  • 耳が詰まった感じがする
  • 音がこもって聞こえる
  • 耳鳴りがする
  • 自分の声や呼吸音が響いて聞こえる(自声強調)
  • 自分の声の大きさを把握しづらい

耳管開放症は、立位(立っている状態)だと症状があらわれ、寝ているときは異常を感じません。

■耳管開放症の診断・検査

診断には症状が確認されることと、耳の中の詳細な観察、聴力検査、鼓膜の検査などが必要です。自分の声が大きく響く、耳がつまった感じがするなどの症状を感じるときには、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

■耳管開放症の治療

漢方薬による治療を行います。60-80%くらいの方に効果があります。また、充分な水分補給で症状が軽減することがありますので、日常的に水分は大目に摂取するよう心がけてください。症状がつらいときは仰向けになるか、頭を下げて体を地面と平行にすると症状が軽減します。

■治療上の注意点

耳管開放症は体重の減少が原因となることが多いので急激なダイエットは避けましょう。体重は減らさずなるべく今の体重を保つよう努力してください。また、鼻すすりによる耳管を強制的に閉塞させるという癖がついている方は、そのせいで中耳炎を繰り返すことも多いです。鼻すすりはしないように注意してください。

2021年5月17日

■耳垢栓塞(じこうせんそく)とは

耳垢栓塞とは、耳垢(みみあか)が溜まってしまって、耳の穴の中(外耳道)をふさいでしまう状態のことをいいます。

外耳道をふさがれてしまうと、音の聞こえが悪くなったり、耳に圧迫感が生じたり、耳鳴りが起こったりする場合があります。

また、耳垢栓塞が原因で外耳炎になることもあります。

■耳垢がたまりやすい原因

自浄作用という人間の耳の機能により、耳掃除をしなくても耳垢が勝手に外に出てくれることが多いのですが、

・子供の場合は、大人にくらべて外耳道が狭いため、耳垢が溜まりやすい
・歳をとるとこの作用が機能しなくなってくる
・耳掃除のしすぎで逆に耳垢を奥に押し込んでしまう
・補聴器や耳栓を使用されている方は耳垢が溜まりやすい
・もともと湿ったタイプの耳垢の方や、耳に水が入り耳垢がふやけた

などの原因で、耳垢がたまり耳垢栓塞になってしまうことがあります。

耳垢栓塞の場合は自分で耳掃除をすると悪化する恐れがあるので、耳鼻科でお掃除することが必要です。

プールやお風呂などで、耳に水が入った際、耳あかが膨張して耳に詰まり、耳垢栓塞の症状が強くでることもあります。そのため、幼稚園や学校のプールの前には、耳鼻科で耳掃除をすると良いでしょう。

■耳垢栓塞の治療

耳鏡で耳の中を見ながら、耳垢鉗子や吸引管などを使って耳の穴を塞いでいる耳あかを取り除きます。治療は、通常1回の通院で済みますが、大量の耳垢がセメントのように固まって詰まっている場合、一度では除去できないこともあります。そのような場合は、専用の薬液を何度か使って耳あかを柔らかくし、数回に分けて取り除くこともあります。

耳垢栓塞になりやすい方や、耳掃除が難しいお子様は定期的に耳鼻科に受診されると良いでしょう。

■ご家庭での耳掃除について

家庭で耳掃除を行う時に、つい全て取ろうとやりすぎてしまうことがあります。その結果皮膚を傷つけて痛みや耳漏を伴う外耳炎になる場合もあります。また、お風呂あがりに毎回綿棒で耳掃除をする結果、ふやけた耳垢を奥に押し込み、完全に閉塞してしまう方もよく見かけます。
子供の場合、耳垢栓塞であっても耳の異常を訴える方は多くありません。これは耳栓をしているのと同じ状態なので、気づかないうちに難聴の原因にもなります。
また、高齢者で、もともと難聴がある方だと、耳垢栓塞による難聴が重なっても本人も周囲も気が付かないで見逃されていることもあります。難聴を放置すると認知症が進行することが分かっていますので、耳鼻咽喉科での定期的な処置で聞こえを良い状態に保つことは、重要で必要なことなのです。
大きな耳垢がある際は、綿棒で書き出すことは難しく奥に押し込んでしまうため、耳鼻科での除去をお勧めします。

2021年5月17日

■低音障害型感音難聴とは

「低音障害型感音難聴」は、低音だけに障害がおこる難聴です。突発性難聴のように急激に聞こえが悪くなる場合もありますが、なんとなく耳が詰まった感じがする、軽度の低音の耳鳴りがするなど、症状が軽く、聴力検査で気づくケースも多いようです。

メニエール病と同様に内耳のリンパ水腫(=内耳の水ぶくれ)が起きるのが原因です。低音障害型感音難聴は、内耳の中でも平衡感覚と関係する前庭ではなく、蝸牛だけでリンパ液がふえ、めまい症状はありません。

■低音障害型感音難聴とは

・耳に水が入ったような感じ
・耳が詰まった感じ
・周りや自分の声が響く
・「ゴー」や「ジー」という低い音の耳鳴り  など

ある日突然、このような耳の症状が現れます。軽いふらつきが出ることもありますが、ほとんどは上に書いた耳の症状です。よく似た病気に、突発性難聴、メニエール病があります。突発性難聴に比べ、急性低音障害型感音難聴は治りやすいのですが、長引いたり、再発を繰り返すことがありますので、自覚症状がなくなったから治ったと考え、治療を中断しないようご注意ください。

■低音障害型感音難聴の原因

内耳のリンパ水腫は体質によるものが多いのですが、睡眠不足、ストレス、体の慢性的な疲れ、風邪などがあると起こりやすくなります。若い人に多い病気と言われていましたが、最近、増えているのが50代、60代、あるいはそれ以上の高齢の方の急性低音障害型感音難聴です。

■低音障害型感音難聴の治療法

薬による治療が中心となります。多くの場合、入院は必要ありませんが、難聴が高度である場合や、治療しているにもかかわらず、難聴が進行する場合には入院が必要になることもあります。

  • 浸透圧利尿剤:イソバイドなど。内リンパ水腫の軽減に効果があります。
  • ビタミンB12製剤:メコバラミンなど。神経障害の修復を助けます。
  • ATP製剤:アデホスコーワ顆粒など。内耳の循環を改善し、エネルギー源となります。
  • ステロイドホルモン:プレドニンなど。内耳の炎症を取り除いたり、過剰な免疫反応を抑えたりします。

多くの場合、数日から数週間以内で治りますが、中には長引くタイプ、繰り返すタイプもあります。この疾患から、同じ内リンパ水腫が原因で起こるメニエール病に移行することもあります。

■日常生活の注意点

メニエール病と同じく、疲れやストレス、睡眠不足などが発症の引き金になるので、発症を抑えるには、規則正しい生活、十分な睡眠、ストレス解消を心がけることが大切です。

 

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