低音障害型感音難聴とは?
「低音障害型感音難聴」は、低音だけに障害がおこる難聴です。突発性難聴のように急激に聞こえが悪くなる場合もありますが、なんとなく耳が詰まった感じがする、軽度の低音の耳鳴りがするなど、症状が軽く、聴力検査で気づくケースも多いようです。
メニエール病と同様に内耳のリンパ水腫(=内耳の水ぶくれ)が起きるのが原因です。低音障害型感音難聴は、内耳の中でも平衡感覚と関係する前庭ではなく、蝸牛だけでリンパ液がふえ、めまい症状はありません。
低音障害型感音難聴とは
- 耳に水が入ったような感じ
- 耳が詰まった感じ
- 周りや自分の声が響く
- 「ゴー」や「ジー」という低い音の耳鳴り など
ある日突然、このような耳の症状が現れます。軽いふらつきが出ることもありますが、ほとんどは上に書いた耳の症状です。よく似た病気に、突発性難聴、メニエール病があります。突発性難聴に比べ、急性低音障害型感音難聴は治りやすいのですが、長引いたり、再発を繰り返すことがありますので、自覚症状がなくなったから治ったと考え、治療を中断しないようご注意ください。
低音障害型感音難聴の原因
内耳のリンパ水腫は体質によるものが多いのですが、睡眠不足、ストレス、体の慢性的な疲れ、風邪などがあると起こりやすくなります。若い人に多い病気と言われていましたが、最近、増えているのが50代、60代、あるいはそれ以上の高齢の方の急性低音障害型感音難聴です。
低音障害型感音難聴の治療法
薬による治療が中心となります。多くの場合、入院は必要ありませんが、難聴が高度である場合や、治療しているにもかかわらず、難聴が進行する場合には入院が必要になることもあります。
- 浸透圧利尿剤:イソバイドなど。内リンパ水腫の軽減に効果があります。
- ビタミンB12製剤:メコバラミンなど。神経障害の修復を助けます。
- ATP製剤:アデホスコーワ顆粒など。内耳の循環を改善し、エネルギー源となります。
- ステロイドホルモン:プレドニンなど。内耳の炎症を取り除いたり、過剰な免疫反応を抑えたりします。
多くの場合、数日から数週間以内で治りますが、中には長引くタイプ、繰り返すタイプもあります。この疾患から、同じ内リンパ水腫が原因で起こるメニエール病に移行することもあります。
日常生活の注意点
メニエール病と同じく、疲れやストレス、睡眠不足などが発症の引き金になるので、発症を抑えるには、規則正しい生活、十分な睡眠、ストレス解消を心がけることが大切です。