甲状腺結節とは?
甲状腺に1〜数個のしこり(結節)ができる病気です。首のしこりや腫れを自覚したり、他人から首の腫れを指摘されたりする場合もあれば、超音波検査による健診で偶然発見される場合もあります。
甲状腺の機能(血液検査による甲状腺ホルモンの値)に影響がなく、良性と診断されれば、すぐに身体に害を及ぼすことはありません。
甲状腺結節には良性と悪性があります。一部には甲状腺ホルモンを産生する腫瘤がありますので、バセドウ病のような症状が出現することがあります。
良性結節
治療は基本的には必要ありませんが、美容面や不快感が強い場合には手術をすることもあります。大きな嚢胞の場合には穿刺して吸引することがあります。
悪性腫瘍
がん:甲状腺のがんには以下のものがあります。
- 乳頭癌:甲状腺癌の90%以上は乳頭癌です。進行が遅く、手術により治すことができます。
- 濾胞癌:5-6%を占めます。これも予後良好なことが多い癌で、手術により治すことができます。
- 髄様癌:稀な癌です。遺伝性に認められることがあります。
- 未分化癌:稀な癌です。進行が早いので早急な治療が必要です。
- 悪性リンパ腫:橋本病から発生すると言われています。
甲状腺結節の症状
甲状腺のはれ方には、バセドウ病や橋本病などのように甲状腺全体がはれる「びまん性甲状腺腫」と、甲状腺が部分的にしこりのようにはれる「結節性甲状腺腫」があります。甲状腺結節は20歳代から50歳代の女性に多く、しこりがあるだけで、ほかには何も自覚症状がないのが特徴ですが、大きな結節が食道に接している場合に、飲み込みづらさが出る場合があります。
甲状腺結節の検査
視診、触診・超音波検査と細胞診で診断します。
- 視診、触診
しこりの有無と大きさ、性状(硬さや広がり)などを調べるために、首の周囲(甲状腺の周辺部)の視診と触診を行います。 - 超音波検査(エコー)
結節性甲状腺腫は甲状腺の病気で一番多いものです。
甲状腺超音波(エコー)で調べると、手で触れないような結節も見つかる場合があります。超音波で結節の大きさや性状を詳しく調べることができます。 - 細胞診
超音波で結節の位置を確認しながら、甲状腺のしこりに細い針を刺して細胞を取り、顕微鏡でその性質(がん細胞がないか)を判断します。
甲状腺結節の治療
良性の場合
良性と診断したら、ほとんどの場合、エコー検査で定期的に観察します。良性結節で経過をみる理由は、サイズが大きくなることもあるためです。サイズが大きくなれば、悪性腫瘍(がん)の可能性もあり、また、良性でも治療を要すことがあるためです。手術が必要となる場合は専門の病院をご紹介します。エコーで定期的に甲状腺結節の性状と大きさを観察していきながら、悪性腫瘍を疑う所見がある場合、針刺し細胞診を行うことがあります。また、血液検査で甲状腺がんの腫瘍マーカーの値を参考にすることもあります。
悪性の場合
甲状腺がんの場合は、手術が基本です。甲状腺がんは進行が遅いため、たいていはリンパ節に転移したがんも含めてきれいにとることができます。