上顎洞がんとは
上顎洞がんとは、副鼻腔のなかの上顎洞じょうがくどうと呼ばれる部分に生じるがんのことです。上顎洞は鼻の左右側方に対で存在する空洞です。
上顎洞がんは、鼻詰まりや鼻水といった症状が現れることもありますが、初期段階では自覚症状がないことも少なくありません。
治療は、手術や放射線治療、化学療法などが行われますが、顔の中心部に生じるがんであるため、機能面はもちろん美容的な面も考慮されます。
上顎洞がんの原因
上顎洞でのがんの発生には、いくつかのリスク因子が知られています。
たとえば、粉塵(木材など)や金属(ニッケル)などに暴露されることで、がんの発生リスクが高まると考えられています。職業によってはこうした物質への暴露リスクが高いため注意が必要です。
また、喫煙習慣もがんの発生につながる可能性が指摘されています。タバコの煙には多くの発がん物質が含まれており、喫煙をすることで空気の通り道に相当する上顎洞に直接的に有害物質が運ばれます。その結果、がんの発生につながることが推定されます。
その他にもがんの発生との関連が推定される因子はいくつかあるといわれています。
上顎洞がんの症状
鼻詰まりや鼻水といった副鼻腔炎のような症状が現れることがあります。しかし、初期の段階では症状に乏しいことも少なくありません。
がんが周囲の組織を圧迫すると、鼻血や頭痛、眼球突出、複視(ものが二重に見えること)などが生じることもあります。また、口腔内にがんが広がることから、歯茎の腫れや歯の痛み、口腔内の腫れなどの症状も出現します。
さらに、上顎洞がんは頭蓋骨の中に進展することもあります。この際、脳神経が障害を受け、さまざまな神経症状が出現することもあります。
上顎洞がんの検査診断
上顎洞内のがんが疑われる場合には、ファイバースコープを用いてがんの病変を直接的に観察します。また、必要であれば組織採取して顕微鏡の検査に提出します。